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渋谷セントラルクリニック代表の大友です。
明けましておめでとうございます。
2023年も年末恒例となるアメリカアンチエイジング学会に参加して参りましたので、例年通り、本年もアメリカのアンチエイジング医療のトレンドをお伝えしたいと思います。
今回の学会はREDEFINING MEDICINE(医療の再定義)がテーマでした。
Anti Agingという言葉からか“老化を遅らせる”イメージを受けることが多いアンチエイジングですが、世界的には少しずつ言葉の意味が移り変わっています。
✔ 2000年まで :予防医療、病気にならないことがテーマ
✔ 2000~2020年:老化による症状を減らすことがテーマ
✔ 2020年~ :老化そのものを治すことがテーマ
老化そのものを治すことを目指すようになったのは2020年代になって再生医療が治療に本格的に取り入れられるようになったことと無縁ではありません。
この数年、皆様も幹細胞治療、幹細胞上清液、PRPなどのキーワードが巷にあふれ始めているのをご実感されているかと思います。
日本においても2030年には再生医療の市場は今よりも10倍近い1兆円産業になることが予想されています。
演題は大きく6つのカテゴリーに分けることができます。印象的な発表が多かった順に記すと以下のようになります。
① 食事・腸内環境・サプリメント
② ホルモン補充療法
③ 再生医療・ペプチド治療
④ 心のバランスをとる心理社会的なアプローチ(瞑想、ヨガ、マインドフルネス)
⑤ デトックス
⑥ エクササイズ
一年間を通して少しずつアンチエイジング通信でお伝えしたいと思いますが、今回は最初の3つのテーマについて総論をまとめてみます。
① 食事・腸内環境・サプリメント
ビタミン・ミネラルの過不足のような話はあまりなく、マイクロバイオーム;体内(腸内、副鼻腔、皮膚)における細菌そう(善玉菌、悪玉菌)の働きなどがフォーカスされていました。
日本ではとかく腸内細菌が注目されがちですが、腸内だけでなく、耳鼻、皮膚、泌尿器科領域に至るまで体内の細菌はコンタクトしあっているという概念です。
マイクロバイオームの乱れが体内に慢性炎症を引き起こして、がん、メンタル、心臓の病気の原因になると言われています。
そうしたことに関連して断食の仕方、例えば昔ながらの断食方法、16時間断食、週末断食なども話題になっていました。
ただやみくもに断食をするのではなく、自分自身が何を悩んでいて、どのような状態であるかをしっかりと検査(腸内細菌、成長ホルモン、インスリン抵抗性)をして、目的に応じて断食のやり方を変えるというのがトレンドです。
断食で期待されるのは以下の3つ。
ⅰ)減量
ⅱ)腸内環境を改善させる
ⅲ)オートファジーによるがん予防、自律神経を整える
② バイオアイデンティカル(ナチュラル)ホルモン補充療法
ホルモン補充療法と言えば、女性ホルモンや甲状腺ホルモンが日本の保険診療では一般的ですが、エイジングに伴う症状に対して、男性ホルモン、メラトニン、DHEAなども含めて理想値までホルモンを補充すると言う概念です。
最大のメリットは認知症、脳梗塞・心筋梗塞、がんといった三大疾患の予防に効くことから、平均寿命のみならず、健康寿命を延ばすことが論文で示されています。
今回、特に話題になっていたのが疲労に関する成長ホルモン補充療法。
コロナ後の様々な後遺症も含めて積極的に治療していて良い結果が出ているようです。アンチエイジングの観点からも記憶力、やる気などの脳機能のパフォーマンスや筋肉量を維持しやすい、太りにくい、からだの痛みが減るなどの治療を始めてすぐに感じられる効果もあります。
③ 再生医療・ペプチド・レクチン治療
アメリカは法規制が厳しく、日本よりも再生医療関連の治療を行うは簡単ではありません。そういったことも反映しているのか、ペプチドやレクチンといった発表で画期的なものが多かったように思いました。
その中でも気になったのがガレクチン3に着目した臨床研究。認知症に対する画期的な効果だけでなく、がんにも応用できるようです。費用は決して安くはありませんが、たった1回で劇的に症状が良くなる動画には驚きました!
また当院でも採用している幹細胞培養上清液(≒エクソソーム)の発表も少しずつ増えていました。こうした培養上清液に含まれる500種類以上の成長因子を含む生理活性物質を投与することにより、老化した組織の若返りを目指す新しいアンチエイジング医療です。
・適応の症状、疾患
【アンチエイジング:点滴による治療】
疲労回復、エネルギー向上、記憶力、筋力、心機能、血管、持久力の向上
【美容:局所注射による治療】
美肌、酒さ(赤ら顔)、薄毛、増毛
【リハビリ:点滴による治療】
コロナ後の嗅覚回復、脊髄損傷、脳梗塞、慢性の痛み