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具体的にどのようなものに注意が必要なのでしょうか。
ビタミンEもまた、“美肌”ビタミンとして知られています。100~150IU(100~150mg)の範囲内であれば、酒さの患者さんにとって優れたサプリメントになります。しかし、過剰なビタミンEは、血管をもろくしてしまい、歯肉や鼻、顔の毛細血管が破れる結果、出血を引き起こします。
ビタミンCは、血管の構成成分であるコラーゲンやエラスチンの産生量を増やして血管を強化する作用があり、酒さのように血管が弱って壊れやすいような状態では非常に有効なサプリメントです。ビタミンCにはアスコルビン酸という何も処理をされていない強酸性のビタミンC と加工により弱酸性に調整されたバッファードビタミンC の2種類があります。強酸性のビタミンCは副作用が強く、250 mg以上を服用した場合、胃の不調を引き起こし、胃や腸から血管拡張ホルモンや炎症ホルモンを放出して、顔の赤みを引き起こす可能性があります。このため医療機関では、胃の副作用を防ぐために、バッファードビタミンCのみを服用することを推奨しています。バッファードビタミンCであれば、1日に数回1000mg摂取しても酒さを悪化させる心配がほとんどありません。
ビタミンBはカラダの様々な働きがスムーズに行く上で非常に重要で、酒さの患者さんにおいても、有用なサプリメントであることに変わりありません。しかし、ビタミンBを高用量に摂取すると、血管拡張ホルモンの放出が刺激され、全身の神経が活性化します。
特に、ピリドキシン(ビタミンB6)は血管を拡張させて、栄養素の運搬を助ける働きがあります。一日必要量は10~15mgですが、高用量のビタミンB6は酒さを悪化させる原因になるので注意が必要です。ビタミンB12は、傷ついた神経の修復やホルモンバランスを整える作用があります。一日必要量は150〜200mgで、この範囲であれば酒さにとって有効なサプリメントです。ビタミンB12のサプリメントにおいても、顔の血流を増加させる原因になります。
ビタミンBは、正しく使用すれば酒さの症状を抑えることができますが、高用量の使用では真逆の効果をもたらします。
コエンザイムQ10は、心臓の機能を助ける働きのある優れたサプリメントです。一方で、酒さを引き起こす強力な血管拡張作用を持っているとも言えます。酒さの副作用を極力抑えるためには、少しずつ身体に順応させる必要があります。通常、100~200mgの用量で始めますが、酒さを発症させないためには、はじめのうちは1日50mgの用量を2~4週間続けて、身体に慣れさせることが重要です。
緑茶エキスは抗炎症作用を持っています。特に皮膚に効果的であるため、適切に使用すれば酒さにおいて有効なサプリメントです。しかし、多くの人々が500~750mgと高用量を使用してしていることが知られています。適正量をはるかに上回って使用すると、高血圧や頻脈を引き起こしますが、これらはいずれも酒さを悪化させる原因になります。酒さの治療においては、1日50~100mgの低用量の使用が推奨されています。
イチョウは何千年もの間医学に使用されてきた植物で、アメリカでは最も購入されているハーブの1つとなっています。その効果は強力な血管拡張作用で、栄養素や酸素の運搬能力を高め、脳に届く血流を増加させることで認知能力を高めます。
しかし一方で、わずかな量であっても酒さの症状を引き起こしてしまうことが知られています。イチョウの副作用として酒さの症状に悩まされる患者さんは非常に多く、認知能力を高めるためには他の手段を選ぶことが最善策と言えます。
ビンポセチンは近年特に流行しているサプリメントの1つです。その効能は脳に良い刺激をもたらし、認知能力を改善、維持させるものです。ヨーロッパだけでなく、日本においても、脳血管疾患に対する治療として広く使用されています。また、神経を保護する働きも知られています。主な作用は、脳への血流を選択的に増加させることです。この際、顔の血流量も増えてしまうため、酒さが悪化してしまうことになります。脳にとっては非常に有効なサプリメントですが、酒さの患者さんにおいては、症状を悪化させる原因に他なりません。
筋肉を鍛えて健康維持を目指している人々にとって、運動の際にトレーニングの効果をサポートするようなサプリメントは重宝されています。中でも注目されている2つのサプリメントが、L-アルギニンとL-シトルリンです。この2つの成分はいずれも、栄養素や酸素を運搬する際に必要となる一酸化窒素の産生量を増加させます。その結果、筋肉の成長や回復を促し、持久力を鍛えることができるのです。このとき、エネルギーを産生しているミトコンドリアにも働きかけ、ATPの産生量を増やす働きも持っています。
運動の際に摂取するのにこれほど有用なサプリメントはありませんが、一方で、これらは酒さに悪影響を及ぼすことが知られています。米国酒さ協会では、高濃度の一酸化窒素およびATPはいずれも酒さを悪化させる強力な原因であると報告しており、酒さの患者さんにとっては相性の悪いサプリメントです。
運動や筋肉トレーニングをする人々は、筋肉の持久力を高め、成長を促すために様々な種類のプロテインを使用しています。実際にプロテインについて行われた研究でも、その作用として筋肉の成長を促し、強化させ、持久力を高める作用が証明されています。
酒さの患者さんにとって問題となるのは、ホエイプロテインや卵由来のプロテインであり、運動をしていない状態であっても代謝を高め、熱を産生させる作用があります。これらのプロテインは強力な血管拡張作用をもち、体内の熱を増加させるため、酒さを悪化させる原因になります。
運動習慣がある人では、1回に50~60mgのプロテインを摂取することもありますが、これは非常に高用量です。酒さの患者さんの場合、十分なタンパク質を取り入れつつ代謝や熱産生の増加を抑えるためには、8時間以内に15~20mg以上のプロテインを摂取しないことが推奨されています。
過ぎたるは及ばざるがごとしとは言いますが、サプリメントの量は適切であれば酒さの改善に非常に役立ちますし、適量より多ければ却って調子悪くさせてしまう可能性があります。
病気や症状を改善するために自己判断でのサプリメントの摂取は危険です。きちんとした診断や採血のもとで適量のサプリメントを摂取することが重要です。