インテンスパルスライト(IPL)は、肝斑やPIHの第一選択にはなっていません。肝斑においてIPLを用いることで、一時的に症状はみられますが、その効果は持続せず、さらに数人には状態の悪化がみられたことが報告されています。ただし、3剤併用と比較して、3剤併用にIPLを組み合わせた治療では、3剤併用とIPLを併用したものの方が良い結果を示しました。 PIHにおけるIPLは、改善が報告された研究もありますが、起こりやすい合併症として難聴があり、標準治療としては選ばれません。 また、肝斑やPIHが起こりやすい皮膚のタイプは、フィッツパトリック分類ではⅣ~Ⅵといわれています。しかし、IPLはⅣ~Ⅵのタイプとは相性がよくありません。このため、色素沈着に対する治療法としてのIPLは、最後の手段として考え、他の治療法の補助として組み合わせることが求められます。
多くの研究では、肝斑の治療に有用であると報告されていますが、実際には色素沈着の再発や悪化を招く危険性があります。メラノサイトを狙ってレーザーを照射することで、過剰に沈着した色素を破壊する効果が期待されていますが、その一方で、刺激による反応として周囲のメラノサイトが活性化し、色素沈着を引き起こす可能性があります。 しかし、照射時間を短縮する方法をとれば、標的のメラノサイトにのみ集中して熱を加え、その周囲への影響を最小限に抑えることで、色素沈着の原因となっているメラノサイトのみを破壊する効果が期待できると考えられています。 また、より長い波長のレーザー(Nd:YAGなど)を用いれば、より深くまで浸透するだけでなく、表皮に存在する正常なメラノサイトには影響を与えずに、安全に治療できると考えられています。 副作用としては、色素沈着、ニキビ様皮疹、単純ヘルペス再活性化などがあります。レーザーによっては、メラニンに対する高い反応性をもちながら、皮膚のタイプによっては生涯残る色素沈着を引き起こす可能性があり、注意が必要です。 HQ、3剤併用、アルブチン、ビタミンC、アスコルビン酸などの美白剤、あるいはケミカルピールなどと併用することで、より効果が期待できます。 低エネルギー・低密度のフラクショナルレーザーは、症状をゆっくりと改善させることで、ダウンタイムやPIHのリスクなく、色素沈着を治療することができます。 Tmファイバーレーザーは、肝斑や色素性病変の治療のためにFDA承認され、その効果を示した論文は数多く存在します。しかし、悪化や再発したケースも少なくありません。 肝斑やPIHには、特定の血管構造があり、色や色調を改善させるためには、DYEレーザーやKTPレーザーが必要になることがあります。 肝斑やPIHの治療において、よりよい結果を出すためには、数多く存在する治療法の組み合わせの中から、長期的に最良の結果をもたらすような治療法の組み合わせを見つけることを目指して、さらなるの研究が必要です。 また、Er:YAGや炭酸ガスレーザーは、色素沈着の悪化の可能性が非常に高いため、肝斑やPIHへ使用することは推奨されていません。
近年、ラジオ波(RF)は、肝斑など美容に関わるような症状の改善のために、その有効性および安全性が示され、美容医学において広く使用されるようになりました。RFは、3kHz〜300MHzの電波を使用して、電流を生み出します。この電流が組織に到達すると、抵抗によって熱が生み出され、皮膚において血管新生を誘発します。その効果は多岐に渡り、どの皮膚のタイプであっても色や色調を改善し、しわ、ニキビ、瘢痕、たるみなどをも改善させます。レーザーのターゲットはメラニンではないため、他の治療法でみられるような過剰な色素沈着のリスクはほとんどありません。 表皮への薬物の浸透を促進することを目的に、RFを6週間施行した研究では、治療前では肝斑の病変部位の範囲、重症度のスコアが21.3だったものが、1ヶ月後には15.7まで改善しました。さらに、その後、治療が終わってからも6ヶ月間にわたって改善状態が維持されました。今後の研究では、肝斑とPIHの治療にRFを用い、その有用性の証明を進めていくことが検討されています。
この治療は非常に新しい概念です。 これまでの治療は基本的に肌を傷つけた後の再生に期待する治療でしたが、シグナルチューニング療法では肌にダメージを与えません。非常に微弱な生体電流を肌に当てるだけだからです。但し、生体電流と言っても何万と種類があり、肌の再生、炎症を抑える、色素沈着を予防するなど目的に応じて様々な種類を選ぶ必要があります。渋谷セントラルクリニックでは最新の治療機器であるシグナルチューニング療法とクルクミンジェルを用いた全く新しい治療をご提案しております。
現在、肝斑やPIHに対して、短期間あるいは長期間にわたって有意な結果をもたらす最良の“単独”の治療法はいまだ存在しません。このため、患者さんは精神的な苦痛を負い、医師は治療法の選択に戸惑います。 肝斑やPIHは、いくつかの治療法を併用することでよりよい結果が得られる可能性があります。そして、長期的な成果をあげるためには、長期間の維持療法が必要です。今後の研究の方向性は、すべての肌のタイプとさまざまな皮膚の症状を治療できる「カラーブラインド」技術に焦点が当てられています。医師は、患者さんの症状の改善させるために医療を向上させ、副作用や合併症を最小限に留めるために、ピコ秒レーザー、低刺激・低密度レーザー、ラジオ波、マイクロニードルなどの最新の治療法についての知識を持つことが重要です。 【参考出典】 http://www.skintherapyletter.com/2016/21.1/1.html