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質の良い睡眠が、健康に重要であることは誰もが知っていますが…
最近の研究で睡眠は疲労回復だけではなく、こころとからだの再生・修復を行うために必要な最高のアンチエイジング治療であることがわかってきました。
日が短くなる冬の始まりは、体のリズムが乱れやすい季節
私たちの睡眠を導くホルモンであるメラトニンは、夜に分泌が増え、深い眠りへと誘います。このリズムは、朝浴びる光によって体内時計がセットされますが、冬は日照時間が短いので、メラトニンのリズムが乱れて夜眠りにくく、朝起きにくい状態になりがちです。

睡眠は、私たちの体にある生命の設計図であるDNAを修復したり、細胞の寿命を決めるテロメアを維持したりするために欠かせません。

慢性的な寝不足は、細胞のダメージ修復を妨げ、老化を早めます。眠りはじめに訪れる深睡眠(徐波睡眠)でたっぷり分泌される成長ホルモンは、
• 傷ついたDNAの修理
• 細胞の寿命を延ばすテロメアの維持
• お肌や筋肉、骨など、全身の再生を力強くサポートします。

深い眠りは脳の大掃除の時間
深睡眠中に活発になる、脳のお掃除システム(グリンパティック系)も重要です。このシステムのおかげで、アルツハイマー病の原因の一つとされるβアミロイドなどの老廃物が洗い流されます。深睡眠の不足は、老廃物が残りやすくなり、認知症予防という観点からも大きな心配事となります。
慢性の炎症は体の中を攻撃する
睡眠不足は、体内で炎症を引き起こす物質を増やし、多くの病気の火種になります。例えば、動脈硬化を引き起こしたり、血糖のコントロールを乱したり、がん、慢性の痛みや自己免疫疾患の原因となっていきます。
慢性の炎症が脳にまで及ぶと、記憶を司る海馬という場所が小さくなりやすくなります。これにより、集中力の低下や、イライラしたり落ち込んだりといった気持ちの不安定さにつながります。
眠りの質を大きく左右する、意外な要因が腸内環境です。
腸内細菌は、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンを作るのに深く関わっています。このセロトニンが、夜になると睡眠ホルモンのメラトニンに変換される仕組みになっているため、腸が元気 → 質の良い眠りという大切な流れが成り立っています。
近年、研究はさらに進み、セロトニンだけでなく、GABA(リラックスを促す神経伝達物質)やドーパミン(意欲や快感に関わる物質)といった脳内で働く重要な物質を産生する腸内細菌が特定されつつあります。

長寿医学の観点では、アルコールや睡眠薬は脳のスイッチを無理やり落とす眠り。それに対して、体が自分のホルモンとリズムで自然に電源を落とす眠りこそが、細胞修復と老化の抑制を最大限に引き出す鍵です。
睡眠薬はあくまで自然睡眠に戻るまでの橋渡しとして、最小限・最短期間の使用が理想です。
1. アルコールを飲むと翌朝疲れるわけ
寝酒は寝つきを良くするように感じても、実際には深睡眠とレム睡眠を分断します。さらに脳のお掃除システムが十分に働かなくなり、老廃物が脳の中に残されたままになります。翌朝に脳の疲れが残るのはこのためです。
2. 薬理的な眠りの限界
ベンゾジアゼピン系やZ系(マイスリー)の睡眠薬は、無理やり作った“眠り”であるため、以下の点で自然な再生を妨げます。
• 深睡眠の減少:最も重要な深睡眠が減るため、成長ホルモンによるDNAや細胞の修復、脳のお掃除(βアミロイド除去)が十分に行われません。
• メラトニンリズムの乱れ:自然な抗酸化作用による脳の修復(抗酸化リズム)が生まれません。
渋谷セントラルクリニックでは睡眠が安定しないときは、メラトニンを健康の観点から第一選択薬としてお勧めしています。保険で処方されるお薬は以下のものが代表的です。
| 種類 | 代表的なお薬の例 | 長期使用で心配な点 |
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ベンゾジアゼピン系 |
ハルシオン、デパスなど |
深い眠りが減りやすい、依存性、認知機能への影響 |
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非ベンゾジアゼピン系(Z系) |
マイスリー、ルネスタなど |
深い眠りが減りやすい、ふらつきなど |
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メラトニン受容体作動薬 |
ロゼレムなど |
比較的自然な眠りだが、すぐに効くわけではない |
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オレキシン受容体拮抗薬 |
デエビゴなど |
覚醒を抑える作用で自然な眠りに近いとされる |
より良い睡眠のためにはストレス、腸内環境の乱れ、ホルモンのアンバランスといったことを整えるのが一番です。体が自ら眠る力を回復させること。これこそが、長く健康でいるための大切な睡眠回復法なのです。
1.朝、光を浴びる(15分):カーテンを開けて外の光を浴びましょう。体の時計がリセットされ、夜のメラトニン準備が始まります。
2.寝る前のスマホを少しお休み:寝る2時間前からは、ブルーライトを控えめにしましょう。
3.腸をいたわる:腸内フローラ検査では腸内細菌の調子を調べるだけでなく、睡眠に必要不可欠なセロトニンを産生する細菌の量も調べることができます。
またこうした細菌を元気にする食材や発酵食品や食物繊維の組み合わせもわかります。最先端の腸活検査を通して、睡眠の質を底上げしましょう。
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