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乾癬と抑うつ

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★うつ病は乾癬患者さんが併発する合併症の中で最も多い合併症

うつ病および乾癬は、偶発する合併症以上の関連があり、うつ病発症率は、一般人口に比べて、乾癬患者さんでは約2倍とも言われています。多くの場合、乾癬の重症度とうつ病の増加との関連が非常に高くなっています。ただし、乾癬とうつ病の研究の大多数で、うつ病の疾患としての症状はこれといって明確にされておらず、定義されていない疾患であるため、乾癬患者さんがどの程度の割合で抑うつ症状を訴えているかについて全体が把握出来るような研究や資料がないのが現状です。

 ★乾癬でうつ病が多いのはなぜ?

乾癬の原因には慢性炎症が関与しています。同じように慢性炎症はうつ病の原因にもなりえます。慢性炎症は様々な要因で引き起こされます。

またコロンビア大学の皮膚科医は、乾癬の皮膚症状がほかの人に見られたりすることによる恥ずかしさや自尊心を傷つけることによってうつ病を発症する原因になる可能性もあると述べています。

うつ病は、生活の質に大きな影響を与えますし、乾癬を患う患者さんは自殺願望や自殺を図る可能性が高くなりますので、抑うつ状態の症状が出ていないかチェックすることは非常に重要であり、必要であれば適切な治療を受けるようにすることが大事です。

 

★抑うつ状態の症状の簡単チェック

次のような症状が見られる場合には早めに医師の診察を受けましょう。

眠れない

朝起きられない

元気が出ない

毎日を楽しむことが出来ない

集中出来ない

 また、外出する際に長袖のシャツを着たり、黒っぽい色の服を着たりすることは、乾癬の皮膚症状であるプラークや鱗屑を自分で汚いと感じていたり、患者さんが社会的な壁を感じていたりする可能性があるため、大事なチェックポイントと言えます。

★抑うつ状態も大切な症状の一つです

患者さん自身が自分で抑うつ状態にあると感じているにもかかわらず、多くはその治療を受けていないという点も指摘されています。患者さんが皮膚乾癬や関節疾患を訴えて来院される場合は、つい皮膚や関節といったカラダの症状の診断にのみ集中しがちになることや、気分障害が診療現場で容易に診断されないことが原因に挙げられます。患者さんが包括的なケアを受けるために、生物心理社会アプローチと呼ばれる複数の専門医による診断・治療を受けるようなアプローチが有効だとされています。

★うつ病と乾癬、どんな治療をしたらいいの?

乾癬を有する患者さんは、乾癬のない患者さんよりもうつ病の治療として、はるかに高い確率で抗うつ薬を使用する傾向にあります。抗うつ薬を服用し、精神疾患を専門としている医師の診察を受けることも大切ですが、生活の質を改善する最善の方法は、乾癬の症状をコントロールすることです。乾癬の症状をコントロール出来ている患者さんは、生活の質が高いと報告しており、職場での欠勤も減り、より生産効率が高まるとされています。ビタミンDの低下は乾癬とうつ病患者の両方に多く認められる検査データーです。治療に当たっては優先すべき治療だと考えています。

 

★生物製剤で治療するとうつ病の発症率が低い!?

先ほど述べたように慢性炎症は乾癬の原因となっています。そのため抗TNFα抗体のような慢性炎症を抑える治療薬は乾癬においてよく用いられています。いくつかの研究結果によると、生物製剤を用いた乾癬治療を実施している患者さんはうつ病の発症率が低いと報告しています。ただし、乾癬の症状が改善したために発症率が低いのか、生物製剤により体に何らかの変化が起きるためなのかは詳しくわかっていません。しかし慢性炎症はうつ病の大きな要因であることを考えるとこのことは驚きに値しないのかもしれません。

乾癬の症状をコントロールするのが難しい場合や、抑うつ状態の原因の心当たりが他にある場合は、精神科の医師や心理カウンセラーの診察を受けることをお勧めします。

 

★乾癬性関節炎のある患者さんではうつ病や不安障害の発症リスクが高い

2014年にリウマチ学会誌に掲載された研究で、トロント大学の研究チームは、トロント西部病院に通院する乾癬性関節炎患者さん306名、乾癬患者さん135名に対して、抑うつ状態および不安障害の症状をアンケートで評価したところ、不安障害がある乾癬性関節炎患者さんは36.6%、乾癬患者さんでは24.4%でした。抑うつ状態がある乾癬性関節炎患者さんは22.2%、乾癬患者さんでは9.6%であることが判明しました。乾癬性関節炎患者さんでは、乾癬のみを患う患者さんに比べて不安障害や抑うつ状態の発症率は高いことが判明しました。

★乾癬とうつ病➖これからの課題

過去の研究では、乾癬の合併症として精神的疾患を挙げていますが、今回初めて、乾癬性関節炎の合併症として気分障害に特化した研究結果が発表されました。乾癬性関節炎患者さんに抑うつ状態や不安障害の有病率が高いという結果は、患者さんも医療従事者も、知っておくべきことであり、今後さらなる啓蒙活動が必要と思われます。乾癬性関節炎の治療にあたる医療従事者は精神的疾患の兆候も見逃さないようにしなくてはいけません。

【渋谷セントラルクリニックDrコメント】

乾癬で抑うつ状態が多くなるのはTNF-αなどの炎症性サイトカインが関与していることは間違いないでしょう。うつ病患者ではTNF-αが高いことは良く知られた事実だからです。そういった意味ではTNF-αなどの炎症性サイトカインが高い乾癬の患者さんで抑うつが認められるのは不思議なことではありません。炎症性サイトカインが高くなる要因の一つにはビタミンDの低下も考えられます。

もちろん外見的な変化による心理社会的な要因も見逃すことは出来ませんので、幅広いアプローチを行う必要があると考えます。

参考文献

https://www.psoriasis.org/advance/depression-anxiety-common-with-psoriatic-arthritis

https://www.psoriasis.org/life-with-psoriasis/depression

http://www.karger.com/Article/FullText/448122

 

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