紀元前3,000年~4,000年頃の古代オリエント時代や地中海地方には始まっていたと言われています。歴史や宗教の文献に登場している脱毛剤【Rhusma turcorum】は、でんぷん・石灰・硫黄等を含み、水でペースト状にして作られていたワックス状のもので、古代オリエントのハーレムの女性達にムダ毛処理用として使われていました。
紀元前30年~40年頃には、エジプトの女王クレオパトラも、ワックス状のもので脱毛していたことが文書に残っています。古代エジプトの出土品の中には青銅で作られたカミソリもあります。
日本では、平安時代に貴族の女性達などが、額の形を整えるために余分な毛を抜いて、足りないところを書き足していました。江戸時代には遊郭の女性の間でアンダーヘアの処理が流行し、小さく平らな軽石を二つ使って陰毛を間に挟んで擦り切ったり、線香で焼いたりしていたと、当時の風俗を描いた書物に記述されています。
19世紀には、皮膚に直接薬品(硫酸など)を塗ったり、毛を抜いた後で汚れた針を毛穴に刺し込んだり(毛穴にわざと炎症を起こして毛穴を塞ぐ目的)して、永久脱毛を目指して様々な脱毛法が行われていました。脱毛効果がないばかりか、多くの場合、皮膚を傷つけ醜い痕を残す結果に終わりました。
1875年、アメリカ・ミズーリ州の眼科医チャールズ・E・ミッチェル博士は「逆さ睫毛」の治療に、初めて電気分解法を用いました。これは、毛穴に差し込んだ針に、弱い電流を流すことによって組織液を電気分解し、その電気分解作用でできるアルカリ液によって、発毛組織を破壊し脱毛する方法です。
1907年~1957年までの50年間、アメリカではX線を使用した脱毛が行われていました。この方法で永久脱毛は可能でしたが、シワやシミなどの副作用が現れ、脱毛後10年~35年の間に、皮膚に癌やケロイドが多発しました。また、フランスでは高周波による脱毛法が開発され、この高周波脱毛法に電気分解法が組み合わされたブレンド脱毛法が開発されました。この機械は日本にも輸入され、現在も使用されています。また、1916年ニューヨークのPaul N, Kree氏は、電気分解法が1つの毛包の処理に約3分かかることから、6本プローブを使用したマルチプルプローブを開発しました。
レーザー脱毛は、1983年ハーバード大学のAnderson博士が【選択的光熱融解理論】を発表するところから始まります。これは【光は、生体における特定の色素顆粒のみに光熱融解を起こさせる】というもので、周りの組織には何ら熱変化を与えることなく(影響を及ぼさない)、ターゲット(特定の色素細胞)だけを選択的に破壊するという画期的な理論です。この理論を基に様々な分野でのレーザー技術の治療への応用が進み、脱毛分野の研究も進みました。そして1996年、アメリカのサイノシュア社が皮膚にダメージを与えずに、毛根のみを破壊する脱毛用レーザー機器を開発しました。
翌1997年に日本にレーザー脱毛機が輸入され、医療機関(皮膚科・美容外科など)によって、脱毛が行われるようになりました。