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今月は昨年末開催されたアメリカアンチエイジング学会(A4M)でのハイライトであった老化を治療するという概念についてまとめたいと思います。
提唱者のデイビッド・A・シンクレア博士はハーバード大学の教授で、『ライフスパン〜老いなき世界~』などのベストセラー作家でもあります。
この理論では、「私たちが年を取って病気になりやすくなるのは、若くありつづけるための情報を細胞が失う」ことが老化の原因としています。
老化はDNA(遺伝情報を保持する物質)の劣化ではなく、DNAを適切に「読む」能力(エピジェネティックな情報の喪失)が失われることを原因としています。 日常生活では様々なストレス(化学物質、人間関係、紫外線)によってDNAはダメージを受けます。 逆に情報を正しく読み込めなくなると、細胞は本来の機能を正しく維持できなくなり老化が進行します。 つまりDNAを適切に「読む」能力(エピジェネティックな情報)を回復させることで、老化を防ぎ、健康寿命を延ばす可能性があると考えられています。
右図:シンクレア博士の老いなき世界より |
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①ホルミシスの重要性
断食、運動、低温や高温への暴露などの軽度のストレスが体内の修復メカニズム(ホルミシス効果)を活性化し、エピジェネティックな情報が劣化することを防ぎます。
近年、サウナやファースティングが欧米で注目されているのも、これが理由の一つです。
②メトホルミンによる老化防止 – AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)の活性化 ③NAD+(NMN)がエピジェネティックな健康には重要 NMNは体内でNAD+に変換されることで、エネルギー代謝やDNA修復に関与します。 |
【学会でのシンクレア教授】 |
-長寿遺伝子サーチュインの活性化(細胞が適切な遺伝子発現パターンを維持できる)
-DNA修復能力の向上(NAD+は、PARPというDNA修復酵素の機能に必要不可欠)
-エネルギーバランスの調整(細胞全体の効率を向上させる)
-ホルミシス効果(断食に似た状況を作り、修復メカニズムを強化する)
将来的には老化によって失われた細胞の「若さ」を取り戻すだけでなく、特定の疾患に対する予防や治療にも応用することが可能になるだろうと講演でも発言していました。
具体的には老化した細胞にエピジェネティックな情報を再インストール(リプログラム)することで 病気を治したり、若返りを図ったりする研究が進んでいます。
その一つが京都大学の山中教授による山中因子(iPS細胞作製に使用される遺伝子)を部分的に活用することで、細胞を元の若い状態に戻らせる可能性が考えられています。
I. 緑内障の治療:マウスモデルで視神経の再生を実現
II. がんの治療:山中因子を用いた基礎実験で効果を示している報告がなされました。
2025年の時点では、老化のリプログラムは実用化に至っていません。
そのため老化を予防するための治療(NAD+を増やすこと、メトホルミン)と老化の症状に対する治療(総合ホルモン補充など)の二つを平行に行う必要があると大友は考えてます。
実はエストロゲン(女性ホルモン)を補充することは、NAD+レベルを間接的に上昇させる可能性が示唆されています。シンクレア博士が強調するNAD+の役割に基づけば、適切なホルモン補充がエピジェネティックな健康に寄与する可能性も考えられます。
そのため老化を予防する上で、NAD +レベルを上昇させることは非常に有用です。 最近ではNMNのサプリメントがネット通販でも幅広く販売されています。ただ忘れてはいけないのは、体内で増やしたいのはNAD+だということ。
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これまではNAD+は体内に吸収されないと考えられていた為、NAD+の段階物質であるNMNを摂るのが良いとされてきたわけです。最近の研究で、NAD+は能動輸送という形で体内に取り込まれることがわかってきたので、渋谷セントラルクリニックではそちらをお勧めしています。
まずすべきことは、NAD+の量を実際に測定することです。ご自身の体内のレベルがどのくらいにあることを知ることは最初の一歩になります。
そのうえでライフスタイルを見直したり、点滴で補充したりすることがこれからの標準になってきます。
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【NAD+を増やす生活】 |
最初に何回かの点滴をすることで、大きくチャージした後は数ヶ月に1回程度点滴したり、毎日少量のサプリメントや点鼻薬を使用したりすることでNAD+のレベルを維持していける(ハチャメチャなライフスタイルでない限り)と考えられています。
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