乾癬や乾癬性関節炎の患者さんは、慢性疾患や重篤な健康状態に陥るリスクが高いことをご存知でしょうか?乾癬の合併症として様々な病気が報告されており、乾癬の患者さんはがんや心臓血管疾患やうつ病をはじめとする健康障害のリスクが有意に高くなっています。乾癬の患者さんは、合併症に注意を払うことは非常に重要だと言えます。
乾癬や乾癬性関節炎の患者さんでは、リンパ腫や非メラノーマの皮膚がんといった疾患のリスクが高くなるとの研究結果が多数報告されています。最近の研究では乾癬の治療が有意にがんのリスクを増加させることはなく、乾癬それ自体ががんのリスクを増加させていると結論づけています。乾癬の患者さんは、定期的ながん検診をすることがお勧めされます。
乾癬と乾癬性関節炎、特に重症の乾癬の患者さんで、心臓血管疾患のリスクが増加するかどうか、研究が多数行われています。ある1つの研究によると、重度の乾癬の患者さんの58%に心血管イベントがあり、43%の患者さんで心臓発作があることが明らかになっています。また別の研究者らは、重症の乾癬性関節炎の患者さんの主な死亡原因は心臓血管系の疾患であると報告しています。これらの心臓発作のリスクは乾癬の治療をすることでリスクが下がることが報告されています。
乾癬と乾癬性関節炎、炎症性腸疾患の間には関連があることが明らかになっています。乾癬を罹患している女性を対象とした研究では、10%がクローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患を罹っていました。皮膚に生じる乾癬だけではなく、乾癬性関節炎も患っている場合は10%よりも多くの人がクローン病に罹患するリスクが高いとされています。
乾癬とクローン病を患っている人たちは同類の遺伝的な変異を共有しているためではないかと考えられています。下痢や腹痛、下血、血便などの炎症性腸疾患の症状がある場合は、必ず医師に伝えるようにしてください。
乾癬や乾癬性関節炎の患者さんは、自尊心の低下やうつ病といった気分障害がある割合が高く、またいくつかの研究で、乾癬性関節炎の患者さんでは、乾癬性関節炎を伴わない乾癬の患者さんより、うつ病となるリスクが有意に高いことが明らかになっています。乾癬の治療によって、うつ病の症状が緩和することも報告されています。
2012年に行われた研究で、乾癬と乾癬性関節炎の患者さんは、2型糖尿病(後天性の糖尿病)のリスクが高いことが明らかになっています。特に、重症の乾癬の患者さんは2型糖尿病を30%以上の可能性で罹患しています。最近の研究によると、2型糖尿病の治療薬のGLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)が、乾癬の治療も手助けするかもしれません。喉の渇き、体重減少、強い空腹感、かすみ目、疲労感、眠気、吐き気、運動持久力の低下といった2型糖尿病の症状がある場合は医師にご相談下さい。
メタボリックシンドロームは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患を招きやすい病態のことを言いますが、乾癬とメタボリックシンドロームの間には有意な関連があります。6500人以上を対象とした研究で、メタボリックシンドロームの割合は、乾癬に罹っていない人の群では23%であるのに対し、乾癬に罹っている人の群では40%と高く、また、女性の方が男性の乾癬の患者さんよりも、メタボリックシンドロームの割合が高いことがわかりました。最近の研究で、重症の乾癬性関節炎の患者さんの44%がメタボリックシンドロームと診断されており、リスクがより高いことが明らかになっています。
乾癬の患者さんは乾癬ではない人々よりある時点において肥満である可能性が高いと言われており、現在も乾癬と肥満の関係を検証するの研究が行われています。ある研究は乾癬に罹っている子供は有意に肥満になる可能性が高いと報告しています。また別の研究では太っている場合、乾癬性関節炎になるリスクが18%増加すると報告しています。また減量することで乾癬の症状が改善することができ、また乾癬の治療でより効果が出やすくなることが示唆されています。
乾癬の患者さんを対象とした研究では、60%の患者さんが骨疾患の初期症状である骨減少症を認め、18%の患者さんが骨粗鬆症に進行していることが報告されています。乾癬を罹患している期間が長ければ長いほど、骨減少症や骨粗鬆症のリスクが高まり、乾癬と診断されてから毎年5%ずつリスクが増加することが明らかになっています。さらに、骨量減少は一般的に男性より女性に多く見られるとされていますが、この研究では骨減少症と骨粗鬆症は男性により多く見られました。特に長期間、乾癬に罹患している場合は、骨密度の検査が推奨されています。
乾癬と乾癬性関節炎は目の炎症性疾患であるぶどう膜炎になるリスクが高くなります。最近の研究によると、乾癬性関節炎の患者さんのうち、ぶどう膜炎になったのは約7%でした。乾癬の全身的な治療により、乾癬の症状のいくつかは改善しますが、ぶどう膜炎は目の治療が必要です。
最近報告された研究によると、乾癬や乾癬性関節炎の患者さんは、非アルコール性脂肪性肝疾患と呼ばれる肝臓の状態になるリスクが有意に高い可能性が示唆されています。
乾癬と診断されたら、合併症に注意を払っていくことは非常に重要だと言えるでしょう。
乾癬は数多くの合併症を引き起こす可能性があります。それは乾癬の原因の一つともいえるTNF-αなどの炎症性サイトカインが数多くの病気や症状の原因になっているからです。遺伝的な要因や環境要因が組み合わさることによって乾癬のみならず、ほかの疾患を引き起こすことになります。乾癬が生じたということは体内に良くない炎症が起きているサインだと感じとり、炎症を抑えるようなライフスタイルをしてほかの臓器への進展を防ぐべきだと考えます。
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