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酒さとパーキンソン病・アルツハイマー

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米国医師会雑誌「JAMA Neurology」のオンライン版で発表された新しい研究によると、慢性の皮膚炎症性疾患である酒さはパーキンソン病の発症のリスクを高めると報告されました。

また、Annals of Neurologyに発表された研究では酒さ患者では認知症、特にアルツハイマー発症のリスクが高まると報告されました。

酒さは慢性の皮膚疾患で、赤ら顔、大人にきび、吹き出物などを特徴とし、やがて皮膚の肥厚が現れます。酒さは、中年またはそれ以上の年齢の成人、特に更年期の女性に発症しやすく、肌の白い人にさらに多く発症しやすいと言われています。

★酒さ患者は認知症、特にアルツハイマー発症のリスクが高まる

なぜ酒さ患者ではアルツハイマーの発症が高まるのでしょうか?

少し難しい話になりますが、認知症、特にアルツハイマーの発症には炎症メディエーターたんぱく質が関与しているとされています。

酒さ患者さんの皮膚ではマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)や抗菌ペプチド (AMP) といった炎症メディエーターたんぱく質は高値であることを発見されています。

この調査は、酒さ患者82,439名を含む5,591,718名の18歳以上のデンマーク人について、1997年から2012年のデータを分析したものです。その結果、データベース内の5,591,718名の中で調査期間中に認知症を発症した人は99,040名で、そのうち29,193名がアルツハイマーと診断されました。1000人年あたりの認知症発症率は1.47で、酒さのある患者での発症率は2.03でした。アルツハイマーの発症率は0.43で酒さ患者での発症率は0.79でした。年齢や性別、社会経済状況、アルコール依存状況、喫煙、スタチン系薬剤や抗うつ剤の使用、高血圧、糖尿病などの交絡要因を調整した結果、酒さ患者では、アルツハイマー発症のリスクがやや高いことが分かりました。また、この関連は、男性よりも女性にやや多く見られました。さらに、アルツハイマー発症リスクは、60歳以上の人に多いことが分かりました。

酒さの治療に良く用いられるテトラサイクリンという抗生剤が、血管内皮細胞で炎症メディエーターたんぱく質であるMMPを抑える作用があることが分かりました。このことはベータアミロイドの抑制やタウたんぱく質発現、神経保護作用に関連していたと指摘しました。

こうしたことから、今後の研究が進むことによって抗生剤であるテトラサイクリンがアルツハイマーなどの認知症の治療薬として用いられる潜在的な可能性もあるかもしれません。

★酒さ患者は認知症、特にパーキンソン病発症のリスクが高まる

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によれば、パーキンソン病は、アルツハイマーに次いで二番目に一般的な神経変性疾患です。パーキンソン病財団では、およそ100万人のアメリカ人がパーキンソン病であり、毎年6万人が新たに診断されていると予測しています。

パーキンソン病は、時間の経過とともに悪化する中枢神経系の疾患で、初期の兆候は、震え、硬直、歩行困難、バランス障害などで、次第に認知機能の低下が起こります。パーキンソン病の多くはお年寄りに発症します。60歳でのリスクは1%で、80歳までにリスクは4%までにも増えます。また、女性よりも男性に多くみられるようです。
540万人以上のデータを使い、パーキンソン病の新規発症と酒さとの潜在的関連について調査した研究をご紹介します。
パーキンソン病と診断されたのは22,387名であった一方で、酒さと診断されたのは68,053名でした。パーキンソン病の割合は10,000人あたり3.54で、酒さは10,000人あたり7.62でした。また、酒さ患者は2.4年ほど早くパーキンソン病を発症する傾向がありました。
酒さ、またはほてりなどの酒さに関係する症状が、パーキンソン病の早期診断の手助けになっている可能性があります。
患者に酒さがあるかないかに関わらず、酒さの治療に使われているテトラサイクリンを飲んでいる人では、パーキンソン病になる確率はやや低いようでした。しかし、どちらの病気も原因ははっきり分かっていないため酒さとパーキンソン病の関係を理解するのは難しいのですが、酒さが特定のたんぱく質を分解する酵素のレベルを高めることが関与しているのではと推測しています。この酵素は、パーキンソン病やその他神経変性疾患においても役割があるとしています。

酒さは、パーキンソン病の独立危険因子になります。この関連は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性の増加など、発症メカニズムが共通しているためと考えられています。
この調査結果は酒さとパーキンソン病との潜在的関係を示唆することは確かですが、今後はその他の可能性のある危険因子を立証するためにはさらなる研究が必要で、調査にはもっと多種多様な人口を含めるべきと結んでいます。

また酒さ患者さんにおけるパーキンソン病の発症リスクを下げる可能性があるテトラサイクリンの潜在的効能についても多くの調査がなされるようになると思います。

★酒さがパーキンソン病を引き起すということではない
これは、両疾患に関連がありそうだということだけで、酒さがパーキンソン病を引き起こすということの証明ではありません。この酒さを引き起こす炎症のもとになっている原因がアルツハイマー病、パーキンソン病にも関係しているということになると思います。

【渋谷セントラルクリニックDrコメント】

酒さの人はパーキンソン病について心配するよりも、まずは酒さを悪化させないライフスタイルについて注意を払うべきだと思います。酒さが悪化しないライフスタイルということは体内で炎症が生じていないこととも言え、アルツハイマー病、パーキンソン病だけではなくそれ以外の疾患の予防になると言えるでしょう。

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