栄養を活用するためにも朝食・昼食を大切にしましょう。食べすぎは肥満につながり、食べなさすぎは痩せにつながります。とくに極端な肥満は男女ともに不妊の原因になるので、注意が必要です。
朝食抜きは太りやすい、夜いっぱい食べると太りやすい。よく言われることですが、科学的根拠がはっきりしていませんでした。しかし最近、米ノースウェスタン大学の研究チームによるマウスの実験で、「食事の時間帯と体重増加の直接的関係」が明らかになったそうです。明るい時間帯にエサを食べるグループと、暗い時間帯だけエサを食べるグループに分けて観察したところ、摂取カロリーや運動量はどちらも同じなのに、暗い時間帯に食べたグループの体重増加は明るい時間帯に食べたグループより明らかに多いことがわかりました。朝ご飯は抜かず、昼食もきちんと食べる。夕飯は早めに食べる。1日3度の規則正しい食事が肥満予防につながるというわけです。
栄養バランスを考える時にヒントになるのは食品が作る色彩です。緑のアボカドに白い玉ねぎだけでは色彩に乏しいと感じたら、赤いトマトや赤ピーマンを加えるといいでしょう。赤色の食品と限らず、お好みでわかめなどの海藻類(黒)やきのこ類(茶色)をプラスしてもいいです。栄養バランスの良い食事を意識しすぎると、ご飯作りがストレスになります。毎食は色彩豊かでなくても、一週間単位で考えると栄養バランスが苦になりませんよ。
ドライナッツにはビタミンDやカルシウムが豊富です。アーモンドにはビタミンEも多く含まれています。ぜひ活用してください。
残念ながら、これを摂れば妊娠!!などという夢の栄養素はありません。 しかし、妊娠つながる可能性のある栄養素はあります。どんな栄養素でしょう。 それは、イソフラボンとビタミンEと葉酸です。
イソフラボンにはエストロゲン様作用があります。イソフラボンは別名「植物性エストロゲン」と呼ばれるように、摂取後、体内でエストロゲン(女性ホルモン)に似た働きをします。一般的にエストロゲンは子宮内膜を増殖させ、卵子を着床しやすくさせる作用があります。排卵期には、エストロゲンの増加とともに精子の通過を容易にします。エストロゲンは妊娠の準備には欠かせないホルモンといわれています。イソフラボンはこのエストロゲンとよく似た働きがあるといわれているので、妊娠しやすい体作りのための食品としてはぴったりです。イソフラボンは、大豆などのマメ科の植物に多く含まれています。お豆腐や納豆などの大豆製品があります。アボカドに玉ねぎドレッシングは最強のビタミンE対策の献立です。
人間の体は自分ではビタミンを生成できないので、食品から取り入れなければなりません。ビタミンには脂溶性ビタミンのA、D、E、K、水溶性のB1、B2、B6、B12、C、ナイアシン、葉酸、ビオチン、パントテン酸の計13種類があります。どれもが必須ですが、とくにビタミンEはホルモンの生成と分泌に必要で、妊娠しやすい体をつくるために効果があります。
不妊で悩んでおられる女性の多くは冷え性でもあります。冷え性の一番の原因は血行不良です。血液は血管の収縮によって流れますが、血管の収縮を助けるのは筋肉です。女性は皮下脂肪が多く、筋肉が少ないため収縮作用がスムーズに行かず血液の循環も悪くなりがちです。このため、血液を送り出すポンプの働きをする心臓から遠い手足などの体の末端にまで十分な血液か巡らずその結果体が冷えるのです。ビタミンEは血行不良からくる冷え性などの解消に効果があります。また、ビタミンEは「老化防止のビタミン」と言われています。動脈硬化などを防ぐ過酸化脂質の生成を止める抗酸化作用があるからです。
「抗酸化作用で細胞を元気にし、健康を取り戻す」はとてもインパクトある言葉ですが、単にビタミンEだけでは効率よく体に働きません。ビタミンEの体内への吸収には、ビタミンD・ビタミンCとの相乗作用が必要です。食べ物から栄養を取り入れるということは、食事でさまざまな食材、つまり栄養素をバランスよく摂ることなのです。健康を意識して食事を作ることは大切なことです。ビタミンEを豊富に含む食品の代表格はアボカド。アボカドには「森のバター」と別名があるように脂肪を多く含みますが、ビタミンE、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸などのビタミン類が豊富で銅やカリウムなどのミネラルも多く、便通を整える食物繊維も豊富なので女性には大変うれしい食品です。血液をサラサラにする玉ねぎやリコピンたっぷりのトマトを添えたり、玉ねぎ、にんにく入りのドレッシングをかけたアボカドサラダがお勧めです。他にビタミンEが豊富な食品はカボチャ、ブロッコリー、さつまいも、ほうれん草などの野菜類、うなぎ、たらこ、卵黄などがあります。
葉酸はビタミンB群の水溶性ビタミンです。ビタミンB12と共に働き、骨髄の中で赤血球を作る造血作用に関係しています。食生活の乱れは貧血として現れやすいのですが、葉酸は貧血にも有効です。とくに、妊娠を望む女性は妊娠前から葉酸を積極的に摂るようにしましょう。月経によって鉄分を失いやすい女性にとっても鉄分吸収をよくする葉酸は大切な栄養素といえます。子宮内膜に十分な栄養と酸素を送ることは着床に十分役に立ちます。また妊娠した女性が1日の400μg(葉酸400μg摂取するには、野菜350gに相当)を摂ることで、神経管閉鎖障害の発症リスクを低下させる効果があります。