ニキビ(ざ瘡)様病変を伴う酒さにおける毛孔性角栓(毛穴に詰まった角栓)とアクネ菌の役割
ニキビ(ざ瘡)様病変を伴う酒さの病態生理は尋常性ざ瘡のものと似ていて、それに酒さと脂腺増殖症の要素を加えたものとなります。
まず読者の方に知っていただきたいのは
・脂腺増殖症の根底には乳糖不耐症が関連していること。
・皮膚の薄片や脂腺の分泌物を餌にしているダニの一種であるデモデクスは、脂腺増殖症の病変では過密度になっているかもしれないこと。
・デモデクスをもつ多くの患者は当初は酒さがないため、毛孔性角栓が起きるより前に、例えば、保湿剤やクリーム、日焼け止めといった外部からの製品を使うことによって酒さになっていく可能性があること。
・毛孔性角栓は毛穴に詰まった角栓と可愛らしく表現していますが、相当な量のTNF-αの分泌を促進することにより眼型酒さ(角膜潰瘍、角膜の瘢痕化、強膜穿孔)の発症や悪化に至らせるかもしれない可能性があるので毛穴ケアには注意が必要です。
にきび(ざ瘡)様の膿疱や膿瘍は瘢痕化しながら治癒していくことになるので、二次的なざ瘡様病変や膿瘍を防ぐために、毛包の塞栓を予防することが重要なのである。
ここからは専門的な補足となります。
脂腺増殖症は皮脂腺が産生する皮脂を餌にする脂肪好性の微生物の成長を促進する。例えば、アクネ菌やピチロスポルム・オバーレ(脂質好性酵母)や時に非病原性の表皮ブドウ球菌を含む他の細菌が考えられます。
毛包に主にコロニーを形成する皮膚のダニ、デモデクス・フォロキュロラムは、物質の存在そのものと、関連している微生物(腸管に存在するバチルス・オレロニウス)を通して眼型酒さをまた増悪させる。