【前号 酒さ? ニキビじゃないの? 42歳男性治療体験記 ~治療開始後2か月~ 】
自分から言い出したものの彼女と一緒に病院に来るのは気恥ずかしい。
クリニックの待合室に座りながら受付の女性が微笑ましい笑顔をするのを見て連れてきたことを少し後悔した。
そうこうするうちに河村先生に診察室へ呼ばれた。
「だいぶ良くなったのではないですか?」
僕はニキビが大分改善したものの顔の赤みが引かないことを伝えた。
「始めにお伝えした通り、お顔の治療を一緒にしないと改善は難しいですよ」と河村先生。
そう言われて初診時のことを思い出した。
あの時は既に美容皮膚科でさんざん治療をしてきたので、顔の治療に対して少し否定的だったような気がする。
河村先生は「UCLAの皮膚科教授が開発した化粧品とシグナルチューニング療法を組み合わせて治療してみては?」と続けた。
横から美由紀がシグナルチューニングって何ですかと少し怪訝そうに聞いた。
エディターをしている美由紀もどうやら聞いたことのない治療の様だ。
シグナルチューニング療法とは通常感じることの無い微弱な生体電流を外部から与えて、細胞機能を回復させる治療でアトピー、乾癬、酒さ、火傷から肌の再生を促す治療のようだ。
ヘラで顔をおさえるだけで良く、痛くも暑くもない治療だと教えてくれた。
河村先生がある患者さんの治療風景を見せてくれた。
痛くないと聞いて、僕の心は揺れた。というのもこれまで美容皮膚科でした治療がどれも痛かったからである。
お願いしますと言いかけた時に横から美由紀が化粧品について河村先生に質問した。
その化粧品はクルクミンを用いたもので炎症を起こしている皮膚の炎症を抑える作用があるらしい。クルクミンはそのままでは皮膚には吸収しずらいのだそうだが、特許製法によって皮膚から吸収できるよう特別に調合されているとのことだった。
数多くの皮膚疾患の論文にも収載されている由緒正しい化粧品で河村先生はまずはこれを使うようにと話してくれた。
横の美由紀を見て意見を聞きたいなと思っていたが、美由紀はどうやら自分のことを考えているらしく僕の視線には気がついてくれない。
僕はとりあえず今日は美由紀がいるので日をあらためて顔の治療をお願いする旨を伝えて化粧品だけ買って帰ることにした。
僕がお会計と予約をしている間、美由紀は河村先生に何か相談しているようだった。何やら深刻そうなので少し心配だったが、自分から切り出してこない限りは聞くまい。
顔の治療は混んでいるようで最短で2週間後と言われた。