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乾癬と乳糖不耐症

乾癬は顔や手のひら、背中、足などに鱗(うろこ)のような紅斑が生じる病気です。一見、皮膚のみの病気のようにも見えますが、乾癬の原因には高カロリー食やグルテン、ビタミン不足など、食生活との関わりが強いことが分かっています。小麦や乳糖など、ある特定の食物に対して身体が異常な反応を示してしまう“食物不耐症”は、乾癬の原因として有名です。 乾癬そのものの原因、あるいは乾癬の症状が悪化する原因としてこれらの不耐症が隠れている場合、いくら皮膚の症状に対する治療をしても根本的な治療法とはなりません。言い換えれば、乾癬の原因が食物不耐症であった場合、正しい検査、正しい治療を行うことで、乾癬の治療にもつながります。 今回は、食事不耐症の中でも牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品に含まれる「乳糖(ラクトース)」に反応して消化器症状が生じる「乳糖不耐症」に焦点を当て、症状や治療法、自分でできる簡単な検査法などをご紹介していきます。

乳糖不耐症とは

乳糖不耐症とは、牛乳などの乳製品に含まれている主要な糖であるラクトース(乳糖)を消化できず、さまざまな消化器症状を引き起こす病気です。 ラクトースは、ラクターゼという小腸にある消化酵素によって、グルコースとガラクトースの2つの糖に分解され、小腸から吸収されます。乳糖不耐症は、このラクターゼの不足あるいは欠損によって引き起こされます。 人は皆生まれつきラクターゼおよびラクトースを消化する機能を備えています。ラクターゼの欠乏は、小児期に発症するように遺伝的に組み込まれているか、あるいは腸の病気によって破壊されてしまうことで生じます。 通常、遺伝によるラクターゼの欠乏は5~21歳頃に起こり、21歳以降に乳糖不耐症が生じた場合には、遺伝以外の何らかの原因によってラクトースの消化が妨害されていると考えられます。 当院では、日本人においては大半の人が乳糖不耐症であるという話もあり、乾癬のみならずカラダの不調の原因として見直す必要があると考えております。

乳糖不耐症の症状

乳糖不耐症の主な症状は、下痢、腹痛、おなら、消化不良、腹部膨満感(お腹の張った感じ)、吐き気などが知られています。便秘は含まれません。 吸収されなかったラクトースが小腸、結腸へ到達すると、そのうち一部は腸内細菌によって消費されます。このとき水素ガスが発生し、腸内にガスが溜まり、お腹の張りやおならにつながります。また、分解されない乳糖が腸内に留まると、浸透圧によって腸内に水を保持するようになるため、下痢がみられるようになります。 これらの症状は、大人でも子供でも共通しています。人によって症状の重症度はさまざまです。大抵の場合、乳糖不耐症であっても、少量であればヨーグルトなどの摂取は可能ですが、重症の場合、わずかであっても重症になることがあります。 乾癬においてはこのようなあからさまな消化器症状がなかったとしても肌に症状が現れることを当院、ヘン教授のこれまでの経験にて確認しております。

乳糖不耐症の原因

ラクターゼが不足あるいは欠損する原因は大きく分けて、先天性、二次性、遺伝子のプログラムの3つの原因に分類されます。 先天性、つまり生まれつきラクターゼが欠損する原因となるのは、遺伝子の突然変異です。ラクターゼの産生に関わる遺伝子の欠損や、ラクターゼの産生を抑える遺伝子が過剰に働いてしまうような突然変異が起こることで、ラクターゼを作ることができなくなってしまいます。先天性のラクターゼ欠損が起こることは非常に稀で、この場合生まれた直後から乳糖不耐症となります。 二次性は、生まれつきの遺伝子変異ではなく、もともとはラクターゼを生産する能力が十分あったものが、何らかの原因によって分泌量が低下してしまうものです。具体例として、セリアック病などの病気が有名です。これらの疾患によって、小腸の細胞が壊れてしまうと、消化酵素の正常な分泌が行われなくなります。 乳糖不耐症の最も一般的な原因は、遺伝子のプログラムによるものです。このプログラムは小児期に発動し、ラクターゼの産生量が低下します。人種によってその程度が異なり、アジア人では頻度が高く、一部の地域では成人の90%以上が関与しているといわれています。一方、ヨーロッパ系の人ではラクターゼの産生量が低下している割合は約5%です。このように、人種によって乳糖不耐症の罹患率にはばらつきがあります。

乳糖不耐症の検査

乳糖不耐症の診断のためには、いくつかの優れた検査方法があります。主な検査方法として、ラクトース除去食(食事からラクトースを取り除いて症状が消失することを確認する)、牛乳負荷試験(牛乳を飲むことで症状が誘発されることを確認する)、呼気水素試験(呼吸中に含まれるガス量を分析する)などがあり、これらの検査を利用して診断されます。この他、血液や便の検査、生検、遺伝子検査なども有用です。 自身が乳糖不耐症だと思っている人のうち、正式な検査を行っている人は多くありません。乳糖不耐症を訴える人の約20%は、実際には乳糖不耐症の診断にはならないといわれています。 では、なぜ自身が乳糖不耐症だと思い込んでしまうのでしょうか。 多くの人は、なんらかの症状があると、その症状を納得できるような原因を探します。乳糖不耐症は、一般的にも広く知られている病名であるため、自身の症状と一致すると、そう思い込んでしまうことが主な原因です。 乳糖不耐症の正しい検査を行い、正確な診断を受けることは非常に重要なことです。診断がつくことによって、医療機関による適切な食事療法を受けることができ、乳糖不耐症の治療や、その原因となる病気が隠れていた場合にはそちらの治療を進めることも可能になります。 乳糖不耐症は、乳製品の摂取量が不足することから、骨の病気にかかるリスクが高くなります。自身が乳糖不耐症だと思い込んでしまっていると、乳製品を避けることで同様のリスクが高まるため、食事で十分補える体質なのか、サプリメントによる補助が必要なのか、一度しっかり確認しておくことも大切です。

ラクトース除去食

乳糖不耐症の有無を自身で確認する最も一般的な方法は、牛乳などの乳製品を食事から取り除く「除去食」です。一見簡単に聞こえますが、実はいくつかの問題点があります。 乳製品は加工食品や調理済みの食品において非常に高頻度で使用されています。たとえば、パンやシリアル、スープ、マーガリン、ドレッシング、パンケーキ、ビスケット、クッキーなどには、ラクトースが含まれている可能性が十分あります。したがって、厳密なラクトース除去食を摂り続けることは難しく、除去食のつもりでいても相当量の乳製品が含まれていることも珍しくありません。重症の患者さんの場合は少量のラクトースであっても発症してしまうため、ラクトースの除去が厳密に行えていない限り、症状が続いてしまいます。すると、「ラクトース除去食を続けているのに症状がある」、つまり腹部膨満感や下痢などの消化器症状は、ラクトースの摂取とは関係がない、と誤って結論付けてしまいます。 また、検査を行う期間が短期間の場合、正確な判断はできないことがあります。重症で毎日症状がみられるような場合であれば、短期間でも十分判断可能なこともありますが、症状が軽く、かつ変動するような場合は、数週間または数ヶ月間継続する必要があります。 さらに、乳糖不耐症の症状は主観的なものが多く、また変動するものであるため、「乳製品を避けているから調子がいい」と思い込んでしまう“プラシーボ効果”による可能性がゼロではない点に注意が必要です。 以上のことから、ラクトース除去食によって乳糖不耐症の診断を行う場合は、厳密な食生活が求められます。このためには、栄養士によるカウンセリングを受けたり、ラクトース除去食のガイドラインを熟読する必要があります。 消化器症状の原因が乳糖不耐症のみであれば、乳製品を完全に除去した食事を続けることで、症状も完全に消失します。長期間ラクトース除去食を続けても症状が改善しない場合、他の病気が原因となっている可能性が高いと考えられます。 乾癬においては乳糖不耐症による脂腺増殖症などの影響もありますが、それ以外にも要因があるのでヘン教授の開発しているクルクミンジェルとの併用が必要だと考えております。

牛乳負荷試験

牛乳負荷試験は、ラクトース除去食よりも簡単に乳糖不耐症を診断できる方法です。一晩食事を抜き、次の朝起きたら1杯の牛乳を飲みます。その後3~5時間は飲食禁止とします。乳糖不耐症の場合、牛乳を飲んでから数時間以内に症状が出るはずです。一方、症状が出ない、または通常よりも軽い症状であった場合は、乳糖不耐症とは考えにくいといえます。 より精密な検査にするためには、牛乳中の脂肪が原因となっている可能性を排除するために、脂肪を含まない脱脂乳を用いるとよいでしょう。ただし、牛乳アレルギーがある場合、この方法では乳糖不耐症と牛乳アレルギーを区別することはできません。とはいっても、牛乳アレルギーは主に子供にみられる病気で、通常大人になるまでに改善するものなので、牛乳負荷試験によって症状が確認できれば、通常は乳糖不耐症によるものと判断します。 稀ではありますが、大人であっても牛乳アレルギーがあると考えられる場合は、牛乳の代わりに純粋なラクトースのみを使用する方法もあります。 牛乳負荷試験で重要となるのは、試験に使用する牛乳の量です。食事などで普段からコップ数杯分に相当する牛乳や乳製品を摂取している場合、試験では1~2杯の牛乳を飲むことが必要です。一方、普段から牛乳を飲んだり、乳製品を食べる習慣のない場合、同じように1~2杯の牛乳を使用すると、強い症状が現れてしまう恐れがあります。 普段から乳製品を摂取する習慣があると、少ない量の牛乳を飲んでも有意な効果が得られません。通常では飲まないような量を敢えて摂取することで、症状が出ることが確認できれば、診断へとつながります。 ヘン教授はこの診断法には懐疑的な部分があるので当院ではこの診断方法はお勧めしていません。

呼気水素試験

呼気水素試験は乳糖不耐症において最も信頼性の高い検査です。検査のためには、まず一晩食事を抜き、次の朝起きたら、純粋なラクトース25g(牛乳をコップ2杯分相当)を水と一緒に摂取します。ラクトース摂取後から10~15分おきに、呼気を収集し、これを3~5時間続けます。そして、呼気中に含まれる水素、メタンガスの量を分析します。 正常であれば、摂取したラクトースは徐々に分解されますが、乳糖不耐症の場合、消化されずに小腸を経て、結腸へと流れていきます。結腸では腸内細菌によってラクトースが分解され、グルコースとガラクトースに分かれる際に水素およびメタンガスを発生させます。この水素およびメタンガスは、結腸から吸収されて血流に乗り、肺へと運ばれて呼気として排泄されます。 呼気中に水素、メタンガスが検出された場合、小腸ですべてのラクトースが消化、吸収されなかったことを意味し、乳糖不耐症の診断となります。呼気に排泄される水素、メタンガスの量は、ラクターゼの不足の程度を反映します。しかし、呼気に含まれるガスの量と症状の重症度は比例しません。つまり、呼気中に含まれる水素、メタンガスの量が少ないからといって、ガスを大量に排泄する人と比べて症状が軽いとはいえません。 呼気水素試験は非常に有用な検査ではありますが、いくつか問題点があります。 1つ目は、長く、退屈な試験であるということです。 2つ目は、使用するラクトースの量に関して、牛乳負荷試験と同様の問題が生じることです。 最後に、結腸の腸内細菌が小腸まで広がっている場合、正しい結果が得られないことがあります。これは、腸内細菌異常増殖症候群という状態です。通常の腸内環境であれば、水素、メタンガスの発生があった場合、ラクトースが小腸で消化、吸収されずに結腸へ達してしまったと判断します。しかし、細菌が過剰に増殖して小腸にまで広がっているような場合には、まだ消化、吸収を受けていないラクトースにまで作用して、小腸で水素、メタンガスを発生させてしまいます。これが血流に乗って肺まで運ばれ、呼気中に検出されると、乳糖不耐症の誤診を招くことになります。この他、小腸の流れが早いために消化、吸収が追い付かなくなってしまうような病気の場合でも、誤診につながります。また、抗菌薬による治療を行っている場合、腸内細菌による水素、メタンガスの産生を抑えてしまうため、乳糖不耐症の見落としが起こり得ます。

乳糖不耐症の治療法

食生活の見直し

乳糖不耐症の治療において最も簡単な方法は、食事として摂取するラクトースの量を減らすことです。乳糖不耐症の方であっても、ある程度のラクトースであれば症状は起こらない場合がほとんどであるため、ミルクやヨーグルト、チーズ、アイスクリームなどの乳製品を意識して減らすようにすることで、症状を抑えることができます。 ただし、ヨーグルトには大量のラクトースが含まれていますが、一方で乳糖不耐症に有益なこともあります。ヨーグルトを作る過程で使用される菌にはラクターゼをもつものがあります。このため、ヨーグルトを食べて、それが胃や腸に留まっている間は、このラクターゼの力を借りて、ラクトースを分解することができます。こうして、腸に到達するラクトースの量を減らすことで、症状を抑えることが可能になります。 牛乳であれば、ラクトース含有量が少ないものや、豆乳やライスミルクなどと代替することで、対処することができます。 ただし、少量のラクトースでも症状が現れてしまう人の場合は、より厳しい食事制限が必要になります。牛乳やチーズのようなラクトースを含む乳製品は避け、加工食品等を購入する際は牛乳等が含まれていないかに注意し、さらに外食時もソース等に乳製品を使用していないか確認することが重要になります。 乳糖不耐症の症状を抑えるもう1つの方法は、牛乳やチーズ等をそれだけで飲食するのではなく、食事中に含めるという方法です。食事(特に脂肪を豊富に含むもの)として摂取した食物は、ゆっくり時間をかけて胃や腸で消化、吸収されます。このとき、乳製品単体で摂取した場合よりも、他のものと混ざった状態で摂取した場合の方が、よりゆっくりと腸内を流れていくことになります。産生できるラクターゼの量には限りがあるため、ラクトースが小腸へと流れていく速度をいかにゆっくりにできるかということがポイントとなります。

牛乳負荷

いくつかの研究から、牛乳あるいは牛乳を含む食品の摂取量を徐々に増やしていくことで、症状が現れることなく、より多くのラクトースを摂取できるようになることが分かっています。これは、ラクターゼの産生量が増えたわけではなく、腸内細菌が変化することによるものいわれています。つまり、腸内細菌がラクトースを処理する方法を変えると考えられています。たとえば、発生するガスの量を少なくしたり、腸内に分泌あるいは保持される水分量を減らすことで、おならや腹部膨満感、下痢などの症状を改善させます。このように、少しずつ身体に慣らしていくことで、腸内環境が適応していくと考えられています。

カルシウムサプリメント・ビタミンDサプリメント

牛乳や牛乳を含む食品は、カルシウムやビタミンDの重要な供給源となっています。したがって、乳糖不耐症の患者さんでは、カルシウムやビタミンDが不足している状態に陥っています。カルシウム、ビタミンDは、いずれも不足すると骨折や骨粗鬆症など、骨の病気の原因となります。乳糖不耐症の患者さんで最も問題となっているのが、骨粗鬆症です。 乳糖不耐症の患者さんは、食事から摂取するカルシウム、ビタミンDの量が少ない分、サプリメント等を利用して補うことが重要です。患者さんは、症状を恐れて、あるいは無意識のうちに乳製品を避けてしまうため、カルシムやビタミンDが不足しているという自覚がないまま、これらの骨の病気が進行してしまうことも珍しくありません。乳糖不耐症の方は、「自身の体質ではサプリメントによる補給が必要である」ということを認識できていることが大切です。 乳製品が悪いのではなくて、それを分解することが出来ない人がいるという理解が広まるといいのですが。お酒も百薬の長という話がある一方で、アルコール分解酵素がない人にとってはただの毒になります。全ての人に完璧な食材はないという視点が大事なのではないでしょうか?

渋谷セントラルクリニックDr.コメント

当院は世界的な皮膚科の名医UCLAヘン教授の治療プログラムをご提案しております。 特許クルクミンジェルと栄養療法を組み合わせた治療プログラムの有用性は16週で72.2%の治癒率を誇ります。お困りの方は是非ご相談ください。

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