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今月はクリニックでもお問い合わせの多い疲労がテーマです。
慢性の疲労を引き起こす主な原因と、その改善法についてご紹介します。
1. 副腎の疲労とそれに続くホルモンバランスの乱れ
慢性疲労の大きな原因の一つが、副腎疲労です。
副腎はストレスホルモンであるコルチゾールやDHEAを分泌し、ストレスへの適応に重要な役割を担っています。
過度なストレスが続くと、コルチゾールの分泌が乱れ、DHEAの低下につながります。DHEAはテストステロンの前駆体でもあるため、これが低下すると男性だけでなく女性もエネルギー不足や意欲の低下、筋力低下などを感じやすくなります。
2. 甲状腺機能の低下
甲状腺ホルモンは全身の代謝をコントロールしており、エネルギー生産に欠かせない要素です。
慢性的な疲労感が続く場合、潜在性甲状腺機能低下が隠れていることもあります。ビタミンA、ビタミンD、鉄、亜鉛やセレンなどの微量栄養素不足や有害金属の蓄積が甲状腺機能に悪影響を及ぼす可能性があるため、必要に応じてミネラルバランスのチェックが推奨されます。
3. NAD+不足によるエネルギー低下
NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)はミトコンドリアでの ATP 生成に関与することから、エネルギー生産に不可欠な物質です。
加齢や良くない生活習慣によってその量が減少します。例えば、高糖質・高脂肪の食生活、過剰なアルコール摂取、睡眠不足、運動不足、そして慢性的なストレスが NAD+の低下を加速します。NAD+はミトコンドリアでのATP生産だけでなく、DNA 修復や抗炎症反応にも関与しているため、その低下は慢性疲労だけでなく、老化や慢性疾患のリスクを高めます。
4. 腸内環境の乱れと慢性炎症
腸内環境の乱れは、栄養素の吸収不良や慢性炎症を引き起こし、疲労の一因となります。
乳糖不耐症やグルテン不耐症により腸粘膜が刺激されると、炎症性サイトカインである TNF-α が過剰に分泌されます。
このTNF-αは全身性の慢性炎症を引き起こし、副腎機能の低下やコルチゾール分泌の乱れを誘発する可能性があります。
その結果、ストレスに対応する力が弱くなることで疲労感が慢性的に現れます。
5. ミネラル・ビタミン・アミノ酸不足
現代の食生活では、加工食品の摂取により、ミネラルやビタミンの不足が目立ちます。特にマグネシウム、亜鉛、鉄、セレンといったミネラル不足はエネルギー低下や免疫力の低下に直結します。またビタミン B群、特にB1、B2、B6、B12やビタミンCの不足も疲労を招きます。
さらに脳内神経伝達物質の材料となるアミノ酸不足も無視できません。
5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)やチロシンはドーパミン、アドレナリン、セロトニンやメラトニンの材料になり、メンタルのバランスを整えるのに必要不可欠です。
6.睡眠の質の低下
慢性疲労の大きな原因として、睡眠の質の低下が挙げられます。メラトニン分泌の減少、睡眠時無呼吸症候群、睡眠リズムの乱れなどが関与します。
7. 運動不足
運動不足はミトコンドリアの機能低下や血流不良を引き起こし、疲労を悪化させます。
1. 分子整合栄養療法による栄養改善
体内の生化学的バランスを整えるために、採血でミネラルやビタミン不足、アミノ酸の欠乏を評価したうえで、不足している栄養素を適切に補うことで、エネルギー代謝の効率が良くなります。疲労がひどい人は炎症性サイトカインの抑制やミトコンドリア機能を向上させる高濃度ビタミンC点滴療法の併用がお勧めです。
2. ナチュラルホルモン補充療法(Bioidentical Hormone Replacement Therapy)
長年の疲労からくるホルモンの低下には、必要に応じてDHEA、テストステロン、エストロゲン、プロゲステロンなどを補充することで、エネルギー低下を改善することができます。また5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)を合わせて補充することはメンタルバランスを整え、良質な睡眠をサポートします。チロシンは意欲や集中力を高めるのに有効です。
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3. NAD+レベルの最適化
NAD+レベルの低下を改善するためには、適度な運動、睡眠の質の改善、糖質摂取の制限、断続的断食など生活習慣全般を見直すことが重要です。
そのうえで NAD+のサプリメントや点滴を組み合わせることによりエネルギー生産と細胞修復が促進されます。
4. 腸内環境の改善
乳糖不耐症やグルテン不耐症などの食べ物の不耐症を見つけ、お食事から取り除くことが重要です。それに加えてプロバイオティクスやプレバイオティクスを活用して腸内環境を整えます。TNF-α の過剰分泌を抑制するために、抗炎症作用を持つビタミンDやオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の摂取を推奨します。
5. 有害金属の除去
蓄積した有害金属を排除するためにキレーション療法を実施します。
6. 睡眠の質の改善
メラトニンの補充、睡眠環境の改善、睡眠習慣の見直しにより、深い睡眠を確保します。
7. 運動習慣の確立
有酸素運動や筋力トレーニングを定期的に取り入れ、ミトコンドリア機能の向上と疲労の軽減を図ります。
渋谷セントラルクリニックでは加圧トレーニングをオススメしています。
結論
慢性疲労は複数の要因が絡み合って引き起こされるため、包括的なアプローチが必要です。副腎疲労、甲状腺機能、NAD+レベル、腸内環境、睡眠、栄養状態、運動習慣を総合的に評価し、必要な介入を行うことで、活力ある毎日を取り戻すことが可能となります。
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